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心の中に蘇る、あのバンドのリズム

若かりし頃の記憶につられて、ふいに口ずさんでいる曲がある。そうだった、ビートルズのあの歌が流行っていた頃、自分は…。 曲に誘われてまた新たな思い出が蘇る。溢れ出る記憶を抱え、さあロンドンへ。この旅を彩るBGMはどの曲になるのだろう。

忙しく働く自分を鼓舞するため、あるいは心を休めるために、色々な曲を聴いてきた。
切々と失恋を歌い上げる歌詞に自分を重ね合わせて、ひそかに独り、部屋で涙を流したこともある。

今でもその歌がふいに街で流れると、フラッシュバックのように思い出も流れ出す。なかでもやはり若かった自分を思い出させるのがビートルズの歌だ。 今年発表されたイギリスの音楽誌Qの投票企画、「ベスト・ブリティッシュ・アルバム50」のトップ10にも「Revolver」など、ビートルズのアルバムが何枚もランクインをしたらしい。

久々に聴いてみるか―。

しまい込んでいたレコードを引っ張り出す。プレーヤーからレコード盤がすりきれるほど聴いたあの曲が再び流れ出す。 4人が道を横断している「Abbey Road」のあまりにも有名すぎるジャケットをぼんやりと眺める。 あの頃の自分は「愛してる」だの「君を独り占めできるならそれでいい」なんて言葉をストレートに歌える彼らが実は羨ましかった。 現実には照れくさくて彼女にそんな言葉を言ったことは一度もなかったけれど。

いま、妻となった彼女に言えるとしたらどこで? 家の中でいきなり? いや、無理だ。 それならあの4人が歩いていた横断歩道ではどうだろう? あの道でなら言えるかも。ジャケットを手に夢想が始まる。

心の中に蘇る、あのバンドのリズム妻へ愛と感謝の気持ちを込めて、行きたがっていたイギリスへ行ってみようか。 ガーデニングが好きな彼女だから庭園を見たいのが一番の理由に違いない。 欲張りな彼女はロンドンに行けばウェストミンスター寺院やバッキンガム宮殿、大観覧車のロンドン・アイにも乗りたがるだろう。
でも1日だけ、ビートルズにゆかりのある場所を巡るのにつきあってもらおう。 ジョン・レノンとオノ・ヨーコが出会ったメイフェアにあるギャラリー「インディカ・ギャラリー」。
同じくメイフェアにあるという彼らが住んだ家。そして名曲の数々がここで生み出され、ファンからは聖地とも言われている「アビー・ロード・スタジオ」…。

さあ、ここからが私の旅のメインイベントだ。
かの有名なアビー・ロードがスタジオの目の前にある。 道の白線がジャケットのように一直線ではなく、今ではジグザグになっているのが少し残念だが、ここで彼らが歩いたように、横断歩道で妻と一緒に記念写真を撮ってもらおう。 そしてここでだからこそ、愛や感謝の言葉を伝えるのはどうだろう?
あの頃ビートルズの曲を聴きながら君を思っていたんだよ、と。何をいまさらと妻は笑うかもしれないが、若かりし頃、愛を語れなかった自分にようやくここで決着?をつけたような気持になれるかも。

そんなジャケットを片手に「ロンドン・ツアー計画」をぼんやりと考えている私を妻が見て「どうしたの?ビートルズ聴いているなんて」と横に座る。

「そういえばあの頃、あなたが繰り返し聴いていた曲があったでしょ?何でかなって、気になって歌詞を調べたのよ。そしたら…」。

なんだ、妻はとっくに私の気持ちをわかってくれていたのだ。
「今度の休暇にはイギリスに行こうか?」と聞くと、昔の彼女の嬉しい時の癖そのままだ、バンザイをして「本当に?」と喜んだ。 でもあのロンドンのアビー・ロードで小さな花束とともに改めて言う言葉のことはまだ予想していないだろう…。

バッキンガム宮殿
バッキンガム宮殿

バッキンガム宮殿

エリザベス女王とフィリップ殿下の公邸。
夏期にはステートルームの公開やチャールズ皇太子の住むクラレンス・ハウスなどを公開する。

ロンドン・アイ
ロンドン・アイ

ロンドン・アイ

カプセルから高さ135mからロンドン市街を一望。
記念日ならシャンペンを飲みながらのシャンペン・カプセルに搭乗しては?

コーヒーショップ
コーヒーショップ

コーヒーショップ

ビートルズゆかりの場所のガイド本や記念切手、キャラクターグッズも販売するカフェ。地下鉄のセントジョーンズウッドの駅構内にある。

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